僕の探偵物語 vol.3 もう一人の家族(編集部修正版)

田舎の張り込みはきつい。何がきついかというと地元の人しかおらず張り込みをする場所が限られるからだ。場合によっては山の中に潜んだり、枯葉で身を隠したり、農家のビニールハウスに潜んだりする。環境面でキツイ。


田舎の車の張り込みもキツイ。普段見ない車が家のそばに止まっているだけで住民からすると違和感だからだ。県外ナンバーの車が長時間止まっているだけで通報されたりすることもある。細心の注意を払わなければならない。


ただ田舎は自然が綺麗だ。葉っぱのすりあう音や、土の匂い、風に合わせて揺れる木々、自然の美しさは、普段あまり地方に行くことがなく、都会の騒がしさにつかれている僕の心を癒してくれた。張り込みの環境的なキツさを差し引いても十分おつりがくるぐらいだ。


美しい自然の中で生まれ育った人はどれほど心が綺麗になるんだろうか、大自然の悠然さに振れ、生命の息吹と神秘を感じ、春夏秋冬から変化を感じ、収穫の喜びを味わう。子供は素直にまっすぐ育ち成長していくだろう。


「あんたのところの嫁、様子がおかしいよ」


依頼者は田舎に住む40代男性のA、対象者は地元の同級生の40代女性Bだった。近所の友人からBの様子のおかしさをAに告げ依頼へと至った。


これもまた田舎あるあるかもしれない、田舎の密なコミュニティが普段の生活から違和感があるような出来事が起こると自浄作用のように情報が広まり浄化されていく。近所の友人は密会をするBを見たのか、聞いたのか、Aを心配しそのことを告げたのだ。


Aは建設関係の仕事に従事しておりBは専業主婦、田舎の広大な土地駐車場が3つある庭付きの大きな家を建て、家族5人で暮らしていた。庭で家族で過ごす姿も見られどこから見ても幸せそうな家庭だった。


調査を依頼された日は11月の某日、依頼者のAが仕事の日で朝4時頃には出社する日、尾行は子供を送り迎えする8時頃からだった。


前日に下見を終えた僕たちはAB宅の出入り口が見える場所で7時に張り込みを開始した。冬に入りかけの11月の朝は寒く車外に出ることもなくエンジンを止め後部座席に移動、車両の後ろはスモークをかけているので後部座席に潜めば車の中に人がいることがばれることはない。


都会の車両張り込みで長時間行っていると、車やカーナビを窃盗しようとする輩に遭遇することもあったりする。しかし、田舎はそんなこともなく安心である。


8時頃にBと子供が自宅をでてBの車両で家を出るはずなのでそれまでの時間は割とゆっくりできるはずだ。


しかし、張り込みを始めて5分、B宅から人が出てきた。



一瞬うろたえたが、事前に聞いていた情報と異なる事象が起こることは結構ある。すぐに体制を整え望遠でAB宅出入口を確認した。「ん?」何かがおかしい。


なんと、AB宅から出てきたのはBと子供ではなく、50代の男性Cだった。「?」誰だこのおっさんは。CはAB宅を出、僕らが車両を止めている位置の反対側へ歩いて行った。


面食らったがCの姿が見えなくなった瞬間に気が付いた、こいつがBの■■相手だ!


CはAが仕事に出社した後の4時~7時までの間にAB宅に来たのだ。AB宅には3人の子供がいるのに。子供に気が付かれないようにAB宅に入って■■■■■■■■■■。凄い嫌悪感、■■■■もびっくりのモラルハザード!


1週間の調査の予定だったのに開始5分で結果が出てしまった。


AB宅の寝室にAは隠しカメラを仕掛けた。調査員は報告書を作成する。僕は寝室に仕掛けた隠しカメラで撮影されたBとCの■■を文字起こしした、まるで■■■■■■だ。



美しい自然の中で健全な精神が育まれるとは限らんね。

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